2011年4月13日水曜日

メルトダウンは(31)

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● チェルノブイリ原発事故




毎日.jp 2011年4月13日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110413ddm003040062000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故「レベル7」 最悪評価、収束見えず

 ◇「同列」に戸惑いも

 政府は12日、東京電力福島第1原発1~3号機の事故を、国際的な原子力事故の評価尺度で最悪の「レベル7」と暫定評価した。
 レベル7は、過去には旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)しか例がない。人類史上に残る深刻な事故に肩を並べた「フクシマ」のニュースは世界を駆け巡った。
 だが、チェルノブイリと福島第1とでは、原子炉の構造や事故の様相に大きな違いが指摘されている。

 「福島では急性の大量被ばくは発生していない。
 原子炉圧力容器は原形をとどめて働いており、放出された放射性物質は10分の1。
 チェルノブイリとはまったく異なる」

 12日、会見でレベル7への評価引き上げを発表した経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、チェルノブイリとの違いを強調した。

 チェルノブイリ原発は、日本の原発とは構造が異なる。
 炉内に燃えやすい黒鉛を使用し、放射性物質を封じ込める原子炉格納容器がない。
 事故では、出力が急上昇して原子炉や建物が水蒸気爆発によって吹き飛び、黒鉛火災が発生して大量の放射性物質が放出された。

 石川迪夫(みちお)・日本原子力技術協会最高顧問(原子力工学)は
 「火災と核燃料の崩壊熱で約2800度の高温状態が4、5日続き、ウランやプルトニウムなどあらゆる種類の放射性物質が蒸発して放出された。
 福島はある程度冷却されているので、揮発性の高いヨウ素などしか出ていない。
 個人的にはレベル6だと思う」
と話す。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(同)は
 「(急性被ばくによる死者が出た)チェルノブイリと同列に扱われることについては戸惑いもある」
としながらも、
 「チェルノブイリの事故は1基だったのに対し、今回は1~3号機に加え、核燃料プールなども損傷する複合事故だったことがレベル引き上げにつながった」
と見る。

 一方、医療放射線防護連絡協議会の菊地透・総務理事は
 「事故当初、保安院は評価をレベル4から5に引き上げたが、海外の受け止めは当時からレベル7だった。
 こうした過小評価が対応の遅れにつながった面もある」
と指摘する。

 ◇依然、大量放出の恐れ

 今回の暫定評価は大気中への放射性物質の推定放出量に基づいたもので、海洋や土壌への放出量は含んでいない。
 政府が公表した37万~63万テラベクレルという放出量について、東電は
 「元々あった燃料の1%程度」
と見る。
 菊地さんは
 「1950年代以降に米ソなどが実施した大気圏内核実験による汚染に比べれば、わずかなレベル」
との見解だ。

 チェルノブイリでは百数十人の職員や消防士が高線量の被ばくによる急性放射線障害を起こし、周辺住民約500万人のうち事故当時子どもだった6000人以上が甲状腺がんになった。
 国際機関の報告では、これ以外の放射線による健康影響は認められていない。

 佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は
 「福島の場合、(原子炉自体が爆発した)チェルノブイリより爆発の規模が小さく、放出された放射性物質の量も少なかったため、汚染の範囲は狭く、程度も低い」
という。
 将来のがん増加の懸念についても「考えにくい」と否定的だ。
 佐々木さんは
 「今後の健康リスクを予測するためにも、住民の被ばく線量を調べることは大事。
 事故後の住民の行動を記録しておくべきだ」
と提案する。

 一方、チェルノブイリ原発事故が約10日でほぼ収束したのに対し、福島第1原発事故は1カ月が経過しても、放射性物質放出が続き、収束のめどが立っていない。
 東電によると、事故がなければ4月11日時点で1~3号機の炉内と使用済み核燃料プールに残った放射性物質の総量は約8500万テラベクレルと見積もられていた。
 仮に1~3号機の放射性物質がすべて放出されると、チェルノブイリの十数倍に上る。

 石川さんは
 「これまでの地震や事故で、原子炉が壊れ設備がもろくなっている状態なので、何が起こるか分からない。
 余震で原子炉圧力容器の底が抜けるようなことがあれば、内部の放射性物質が大量に出てくる事態も考えられる」
と指摘する。

 各原子炉では高線量の汚染水や、度重なる余震により、原子炉内の冷却作業が思うように進まない。
 石川さんは
 「冷却水を循環させ、今より強く核燃料を冷やす必要がある。
 なるべく放射性物質を固体にし、外に漏れにくくしなければならない」
話している。

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 ■ことば
 ◇テラベクレル
 ベクレルは放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位。
 テラは「1兆倍」を表す。
 1テラベクレルとは、1秒間に1兆回の原子核崩壊が起きる際の放射能の強さ。
 一方、シーベルトは放射線の人体への影響を示すもので、1ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取した場合の人体への影響は、0・022マイクロシーベルトとなる。




TBSニュース 2011/04/13 06:13
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4699106.html

福島第一原発の事故の評価がチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げられたことについて、IAEA=国際原子力機関は「2つの事故は全く別物」という考えを示しました。

 「2つの事故は全く別物だ」(フローリー事務次長)

 IAEAのフローリー事務次長は、日本の原子力安全・保安院が福島第一原発の事故の国際評価尺度を最も深刻な「レベル7」に引き上げたことについてこのように述べ、福島の事故とチェルノブイリの事故は比較対象にならないという考えを強調しました。

 フローリー事務次長は
 「福島第一原発では全ての原子炉が地震の直後に停止したが、チェルノブイリでは原子炉が試験運転中に爆発した」
などと指摘。
 環境中に放出された放射性物質の量も、チェルノブイリの方がはるかに多いと述べました。






テレ朝ニュース 2011/04/13 05:50
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210413000.html

【原発】放射性物質「100分の1」放出 福島第一

 福島第一原発の事故で、東京電力は1号機から6号機のすべての放射能量のうち、ヨウ素131などの放射性物質が100分の1程度外部に放出されたと推定しています。

 地震発生時に第一原発にあった放射性ヨウ素131などのハロゲン類の総量について、東京電力は8100万テラベクレルと試算しました。
 今回の原発事故を最悪の「レベル7」に引き上げる根拠として原子力安全・保安院が示した放出量の37万テラベクレルや、原子力安全委員会が試算した63万テラベクレルと比較した結果、全体の約100分の1が外部に放出されたと推定しています。
 一方、2号機の立て坑にたまっている高濃度の汚染水をタービン建屋の復水器に移送する作業が12日夜、ようやく始まりました。
 また、4号機の使用済み燃料プールから採取した水の温度が90度と高いことが分かり、コンクリートポンプ車で放水することにしています。









== 東日本大震災 == 



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