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● もんじゅ
この時期、見通しのつかないような事故を起こしている原子炉は、今後運用を継続できる可能性は極めて小さい。
絶対的流れとして、原発全廃のうねりは大きい。
昨年8月の事故をいまだ修理できないといった危険性がある原子炉を今回の福島原発事故にあてはめてみれば、出てくる答えは明瞭。
見込みはないといっていい。
もはや、もんじゅは住民同意を取り付けることはできない。
廃炉に向かうとみたほうがいい。
『
産経新聞 2011年04月16日22時50分
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110416/scn11041622430001-n1.htm
日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)をめぐり、同県は16日までに、所管する文部科学省に耐震安全性などの対策強化を申し入れた。
もんじゅでは昨年8月、核燃料を交換するための炉内中継装置が原子炉内に落下、
今も回収できない状態に陥っている。
その最中に東日本大震災による東京電力福島第1原発事故が起きたことで、住民の不安がこれまで以上に高まっている。(渡辺陽子)
「早急に的確な対応と説明をしてほしい」。
福井県の旭信昭副知事は3月23日、文部科学省の清水潔事務次官を訪ね、耐震安全性など対策強化を求める要望書を手渡した。
もんじゅと商業炉を合わせて全国最多の14基の原発が集中している同県では、とりわけトラブル続きのもんじゅへの懸念が強い。
もんじゅは平成7年12月、ナトリウム漏れ事故を起こし、検証や安全対策強化のために14年運転を停止。
昨年5月にやっと運転再開にこぎつけたものの直後から放射性物質漏洩(ろうえい)検出器の不具合で誤警報が頻発。
公表も遅れて情報公開の姿勢も批判されるなか、同年8月には使用済み核燃料を新しい核燃料に交換するために使う炉内中継装置の落下事故が発生した。
中継装置は長さ12メートル、直径46センチ、重さ3・3トンの筒状の重量物。
炉内の核燃料の交換が終わり、グリッパと呼ばれるつかみ具で引き上げる最中、約2メートルの高さから落下した。
グリッパの不具合が原因とみられるが、問題は中継装置の回収が極めて困難なことだ。
反射鏡などを使った調査では、中継装置の筒状の2つのパーツの接続部が落下の衝撃で変形していることを確認。
外側にわずかにせり出すような形でゆがんでおり、原子炉容器の上ぶたのスリーブと呼ばれる部分に引っかかって取り出せない状態になっていた。
これまで段階的に力を強めながら引き上げる作業を24回繰り返したが、いずれも失敗。
復旧作業が長期化している。
原子力機構は、スリーブごと一体的に抜き取る大掛かりな回収策を講じる方針で、新たなつり具を数カ月かけて製作しているが、冷却材のナトリウムは空気に触れるだけで発火するため、回収には外気を遮断しながらの困難な作業を迫られることになる。
炉内中継装置を引き抜けなければ核燃料棒も取り外せず装填(そうてん)されたままになるが、原子力機構関係者は「原子炉は機密性の高い構造で守られ、監視システムも確立しており、異常にはすぐに対応できる。
万一、福島第1原発のように冷却機能が失われても燃料棒が溶解する可能性は極めて低い」と強調する。
しかし、もんじゅでは昨年12月以降もナトリウム監視装置が一時的に動作不能になるなどトラブルが続いており、県が原子力機構幹部らを呼び出して厳重注意する事態にもなっている。
福島第1原発事故を受け緊急安全対策の実施計画を8日、敦賀市に報告した原子力機構の鈴木篤之理事長は
「これ以上何か起きたら、住民の理解は得られない。
万難を排してできることはなんでもする」
と危機感をあらわにした。
これに対し、福井県原子力平和利用協議会敦賀支部の平山光子・女性部長は
「原発の理解を深める勉強会を開いても『いい加減にして』という怒りの声が出る。
高い目標があるのなら、もっとしっかり取り組んでもらわないといけない」
と指摘する。
敦賀市原子力安全対策課の本多恒夫課長も
「ミスがないよう、安全管理の徹底とリスクマネジメントを再三にわたり注意してきた。
福島第1原発事故が起きた今は、たとえ小さなミスも市民感情に影響する。事故にどう対応するか。
原子力の信頼回復はそこからだ」
としている。
■高速増殖炉 プルトニウムとウランの混合燃料を燃やすと同時に、発生した高速の中性子を燃えない「ウラン238」に吸収させ、プルトニウムに変える。
使った燃料よりも多くの燃料を取り出せるため、“夢の原子炉”とも言われる。
しかし、核分裂時に発生する中性子を減速させないようにするために、冷却材には熱伝導性の高いナトリウムを使用。
酸素や水と爆発的に反応するため、高い制御技術が必要とされる。
』
== 東日本大震災 ==
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